![](https://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_1F.jpg)
- 2022.01.16
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- 2022.01.28
【間取りの教室】32坪2階建て4LDK | 和室がある4LDKの罠 | 階段下トイレに注意 | 木造で大きなバルコニーって大丈夫?
みなさんこんにちは、LIDOMAです。
本日は、間取りの教室シリーズです。
このシリーズでは、ご相談いただいた間取りに手を加えていったものや、
私が今までに検討したプランについて、
そういった間取りの
・良いところ
・悪いところ
について、お伝えしていくシリーズになります。
本日のテーマは、32坪2階建ての間取り。
この間取りの良いところ悪いところについて、一緒に考えてみましょう!
また、10数年経ってから問題になりやすい、
木造バルコニーの防水問題についても取り上げたいと思います。
32坪2階建て4LDKの位置付け
まずは32坪2階建て4LDKという間取りが、
どういった位置付けになるのか確認しましょう。
32坪という面積は、どれぐらいの大きさ?
フラット35利用者調査(2020年)によると、
注文住宅の面積の平均は124.4㎡(37.6坪)、
土地付注文住宅の面積の平均は111.1㎡(33.6坪)、
建売住宅の面積の平均は101.1㎡(30.5坪)という結果になっています。
今回の間取りは32坪になりますので、建売住宅としては少し大きめですが、
注文住宅としては小さめな規模だと言えるでしょう。
![](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/interior02.jpg)
4LDKは一番人気の間取り
住宅の間取りを考える場合に、一番多く採用されるのが4LDKになります。
実際、SUUMOやHOME’Sで検索してみても、4LDKが圧倒的に多いのがわかります。
夫婦二人+子供二人という家族構成の場合には、それぞれ個室利用ができますし、
夫婦の寝室+子供二人+来客用という使い方もできるので、
フレキシブルに使うことが出来るのが特徴です。
一方で、32坪で4LDKという構成の場合、
LDKや収納にあまり面積を割くことは出来ません。
LDKの広さよりも、部屋数を優先した場合に選択すると良いでしょう。
1階の間取りの特徴
![32坪2階建て4LDK 1Fの間取り](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_1F.jpg)
それでは早速、間取りの特徴をみていきましょう。
玄関周りについて
今回のプランでは、玄関前のポーチの大きさが1坪あり、
ゆとりをもった空間になっています。
![32坪2階建て4LDK_玄関ポーチ](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_玄関ポーチ-1.jpg)
ポーチにゆとりがあると、雨の日も傘を開いたり閉じたりしやすいですし、
植物や置物を置くことで自分好みの空間を演出しやすくなります。
玄関・ホールについて
![32坪2階建て4LDK_玄関と玄関収納](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_玄関.jpg)
続いて玄関について。
玄関は、オーソドックスな間取りですね。
1坪サイズの玄関スペースに、壁面収納のシューズクロークを配置するという形式です。
目新しさはないかもしれませんが、
玄関・ホールをコンパクトにまとめたい場合におすすめのプランですよ。
![32坪2階建て4LDK_ホール収納](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_ホール収納.jpg)
また、ホール前にはちょっとした収納スペースを設けています。
玄関からみてアイストップになる位置に収納を作る場合は、
天井までの収納よりも、腰高程度の高さまでに抑え、棚を作るのがおすすめです。
この棚のスペースに、ちょっとした花瓶や、お気に入りの写真などを飾ると、
空間を演出できますよ。
![32坪2階建て4LDK_玄関から手洗い場までの動線](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_ホールの動線.jpg)
更に、奥には手洗いスペースも設置しています。
コロナ以降、玄関付近に手洗いスペースを設置する間取りが急増しています。
このプランでは、トイレの手洗いとしても利用できるので、一石二鳥ですね。
玄関からすぐに見える場所よりも、このように少し奥まった位置に配置した方が、
玄関周りがすっきり見えます。
LDKについて
![32坪2階建て4LDK_LDKの大きさ](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_LDKの大きさ-1.jpg)
LDKの大きさは、16帖です。
戸建住宅の場合、LDKは最低16帖は確保しておきたいですね。
(マンションは16帖以下の場合も多いです)
キッチンがあり、ダイニングテーブルを置いて、ソファとTVボードを…
と配置していくと、16帖未満だと配置が厳しくなります。
また、冷蔵庫を奥のパントリーに収納しているのもポイントですね。
![32坪2階建て4LDK_キッチン通路幅](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_キッチン通路幅-1.jpg)
キッチンの通路幅は、大体85cmから110cm程度確保することが多いのですが、
このときに問題になるのが冷蔵庫がある場所の通路幅です。
というのも、キッチンのバック収納の奥行きは45cm程度であることが多いのに対し、
冷蔵庫の奥行きは60cm〜90cm程度のものが多いんですね。
もし基本の通路幅を85cmとして計画すると、
冷蔵庫前の通路幅は40〜60cm程度しか確保できません。
![32坪2階建て4LDK_キッチン通路幅85cmの場合](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_キッチン通路2.jpg)
冷蔵庫前の通路幅を85cmとして計画すると、
他の通路幅は110〜130cmと、かなり間の空いた間隔になってしまいます。
![32坪2階建て4LDK_冷蔵庫前通路幅85cmの場合](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_キッチン通路3.jpg)
こうした問題は、冷蔵庫を違う場所に置くことができれば解決します。
それが、今回のプランで言うパントリーへの配置ですね。
![32坪2階建て4LDK_冷蔵庫をパントリーに配置](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_冷蔵庫をパントリーに配置.jpg)
このようにパントリーに冷蔵庫を配置することで、
キッチンの通路幅が安定し、使いやすいキッチンになるんですね。
しかし、デメリットもあります。
それは、冷蔵庫までの動線が長くなること。
また、冷蔵庫によって扉の開き寸法が変わってくるので、
設置予定の冷蔵庫の開口寸法は確認しておく必要があります。
パントリーをどの場所に配置するかにもよるのですが、
今回のプランでは少し距離がありますね。
通路幅よりも冷蔵庫までの距離が気になる!という方は、
キッチンのすぐ後ろに冷蔵庫を置けるプランのほうが良いでしょう。
窓のない居室(無窓居室)の扱いについて
![32坪2階建て4LDK_和室](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_和室-1.jpg)
続いて、和室をみてみましょう。
どこかおかしいところがありませんか?
実は、一つも窓がないのです。
建築基準法では、人が滞在するための部屋(居室)には、
採光や通風をとるための窓を設けなさい
と定められています。
なので本来、この和室は居室として成立しません。
にも関わらず、この間取りではどうして和室が成立するのか?
それは、LDKと和室との間に建具(扉)を作っていないからです。
建具という仕切りを設けず、LDKと和室を一体の部屋として扱うのです。
LDKには大きな窓が配置されているので、
和室を含めても十分な採光と通風がとれるのです。
![32坪2階建て4LDK_LDKと和室を一体化](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_LDKと和室を一体化.jpg)
注意!こうした和室は仕切りを作ることが出来ない
こうしたLDKと和室が一体化になった間取りでよく相談を受けるのが、
この和室に建具をつけることはできますか?という質問です。
結論から言うと、和室に建築基準法上の採光・換気基準を満たす窓がない場合、
建具を設置することはできません。
一方で、例えば建売住宅の販売において、
引き渡し後に自己責任で扉をつけることができますよ!
という説明をしている営業さんがいると聞きます。
これ、”自己責任”という部分がポイントです。
つまり建築会社としては、
この和室に扉をつけて建物を作ることは、違法になるので出来ません。
しかし検査機関の完了検査を終えた後に、
クライアントから改築工事の依頼を受けたという扱いにすれば、
建築基準法の文句は言えなくなるのです。
![](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/interior01-scaled.jpg)
ちなみに建具を設置した場合のデメリットは下記二点。
1つ目は、家を売りたくなった場合に売りにくいこと。
和室は法上の居室としての性能を満たしていないので、
和室として表記することは違法になります。
なので、”納戸”等と表記して販売することになります。
2つ目に、実際にその空間に住まうには
健康上のリスクがあるかもしれない、という点です。
というのも、居室になぜ採光や換気が必要かというと、
人間が健康的に生活するために必要だからです。
特に換気については、空気の流れを作ることで、シックハウスをはじめ、
結露やカビを発生されないのが目的です。
居室として作られていない部屋は、
そうした空気の流れを作れないリスクがあるのです。
階段下トイレは、階段の段数に注意
![32坪2階建て4LDK_トイレまわり](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_トイレまわり.jpg)
できるだけ空間を有効に使いたい場合、
階段下の空間をどう活用するかは重要です。
そして、その活用方法としてよく採用されるのが、階段下トイレ。
ただし、階段下にトイレを設置する場合は、
階段の段数とトイレの位置関係をよく把握しておきましょう。
今回の間取りでは、階段の10段目以降にトイレが来るように配置しています。
このときに、階高や階段数によっても変わってきますが、
天井高が約1.8mほど確保できます。
逆に、10段目よりも少ない段数の位置にトイレが来る場合は要注意です。
例えば下記のような場合。
![32坪2階建て4LDK_1坪階段&トイレ](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_1坪階段トイレ.jpg)
1坪階段の中に、トイレも入れ込んでしまっています。
建売住宅の間取りで、よくみる形ですよね。
この間取りは、できるだけ要素を詰め込むという意味では良いかもしれませんが、
トイレはかなり辛い空間になります。
というのも、階段の8段目というのは天井高がなんとか1.6mとれるかどうかという大きさです。
用を足すだけだからそれでも構わないという場合は良いですが、
・トイレは居心地の良い空間にしたい
・1階トイレは来客があった場合にも使う場所だからちゃんと空間作りしたい
という場合は注意しましょう。
2階の間取りの特徴
続きまして、2階の間取りについてみていきます。
![32坪2階建て4LDK 2Fの間取り](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_2F.jpg)
2階には、共有の収納があると便利
2階のプランは、それぞれの個室と、その個室のための収納で完結しがちです。
しかし、小さくてもいいのので、共用の収納を一つ作っておくと便利。
トイレペッパーの替えや掃除道具のストック、掃除道具など、
何かと収納が必要な場面は出てきます。
居室はできるだけ二面採光に
二階には、主寝室と子供部屋が2つありますが、
どの部屋も二面採光をとれる形になっています。
![32坪2階建て4LDK_風の通り道](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/32坪2階建て4LDK_風の通り道-1.jpg)
二面採光とは、部屋の4方向のうち、2つの面に窓がある状態のことをいいます。
このように二方向に窓を設けることで、採光はもちろん、
窓を開けたときに風が通りやすくなるのです。
ちなみに、窓の場所を考える際、すぐ近くに窓を設置するよりも、
少し離れた場所に設置した方が、風が通りやすくなりますよ。
木造の場合、大きなバルコニーを作っても大丈夫なのか?
今回のプランでは、バルコニーがとても大きいサイズになっています。
しかし、木造でこんなに大きなバルコニーを作っても大丈夫なのか、気になりますよね。
最も多く採用されるFRP防水
木造住宅のベランダやバルコニーは、多くの場合、FRPという材料を使って防水します。
FRPとは、Fiber Reinforced Plasticsの頭文字を取った言葉で、
日本語にすると”繊維強化プラスチック”といった意味になります。
FRPの特徴は、なんといってもその防水力の高さ。
ユニットバスの浴槽や、水を保管する貯水槽をはじめ、
船体などにも使われていることからも、
いかに防水性に優れた素材であるかが分かると思います。
そんな非常に防水性に優れた素材ですが、実は弱点もあります。
それは、伸縮性がないことです。
なので、ほとんど建物が変形しないコンクリート造にはとても向いた防水方法なのですが、
木造で使用する場合は、注意する必要があるんです。
![](http://designyaama.com/wp-content/uploads/2022/01/wood.jpg)
というのも、木造って変形しやすい構造なんですよね。
木材自体が、湿度によって少しずつ膨張したり、縮んだりもします。
こうして拡大・伸縮を何度も繰り返していくうちに、
FRPが動きに耐えきれず、ひび割れてしまうのです。
もちろん、奥行きが約90cm、幅が1.8m〜2.7m程度の通常のバルコニーであれば、
そこまで心配する必要はありません。
しかし今回のプランでは、奥行きが1.8m、幅が9mもある、
かなり大きめのバルコニーになります。
このサイズのバルコニーをFRP防水で仕上げようとすれば、
動きに耐えきれず割れてしまう可能性がかなり高いです。
大きな面積のバルコニーには金属防水工法がおすすめ
では木造では大きなバルコニーが作れないのかというと、そんなことはありません。
実は、大きな面積のバルコニーも作ることができる、
スカイプロムナードという金属防水工法が存在するのです。
私も以前、ルーフバルコニーや屋上テラスを設置する場合に採用したことがありますが、
防水保証もついており安心して利用できました。
今回のプランのように大きなバルコニーを設置したり、
ルーフバルコニーがほしいという場合は、ぜひおすすめの工法です。
ただし、一点注意。価格はFRPよりも高くなります。
なので、通常のバルコニーであればFRP防水、
面積が大きくなる場合はスカイプロムナードという使い分けができるといいですね。
最後に
さて、今回の間取りの教室シリーズでは、32坪2階建て4LDKの間取りを元に、
いろいろな特徴を取り上げていきました。
今後も間取りの教室シリーズは増やしていく予定なので、
ぜひ楽しみにお待ちください。
以上、二級建築士のLIDOMAがお送りしました。