// 記事のビュー数を更新(ログイン中・ロボットによる閲覧時は除く)

LIDOMA -建築士が作る間取りの教科書-

30坪の平屋の間取りです

【画像が豊富!】間取りの教室 30坪 平屋の横長間取り編

皆さんこんにちは、LIDOMAです。

5年ほど前から平屋の人気が急上昇していましたが、
その人気は相変わらずですねー!
建売界隈でも、平屋の人気はすごいです。

今までは平屋をメイントピックにした記事は扱っていなかったのですが、
今回は平屋30坪の横長間取りに焦点を当てて見ていきたいと思います。

四角いタイプの平屋については、こちらで紹介しています。

以前は平屋は不人気だった

実は一昔前まで、平屋は昔の家みたい…という印象が強かったのか、
あまり人気はありませんでした
良い間取りやデザインの平屋が少なかった、というのも一つの理由でしょう。


しかし、おしゃれで住みやすい平屋が増えていった結果、
今では平屋が選択できるのであれば平屋が良い!というお客さまが増えています
InstagramやYoutubeでも、2階建てよりも平屋の方が圧倒的に人気ですね。

住みやすい大きさが何坪?

そんな大人気の平屋建て住宅ですが、
難しいのがどれぐらいの面積が最適なんだろうか…ということです。

2階建ての住宅であれば、色々な事例があるので多少なりともイメージがつくかと思いますが、
平屋の場合、二階建てよりも事例が少ないこともあり、
どれぐらいの面積が良いのかわからない…という方が結構いらっしゃいます。

そこで本記事では、30坪 平屋の横長間取りを元に、
平屋はどういった暮らしが描けるのか、
30坪の間取りを元に自分たちにあった大きさの考え方について、解説していこうと思います。

平屋の坪数の基準を30坪にした理由

30坪の平屋という大きさは、
3〜4人ぐらいの家族がちょうど住みやすい大きさになります。
実際の事例でも、30坪で建てられている平屋って、とても多いんですね。

また、30坪という大きさは、4LDKにも3LDKにすることもできるので、
間取りを考えるときに基準にしやすいのです。

そこで本記事では、30坪の平屋の間取りを基準にお話することにしました。

30坪の平屋の間取りを公開!

30坪の平屋の間取りです

さて、それでは早速間取りをみていきましょう。

今回は、4LDKのプランでまとめてみました。
このように面積が30坪あれば
無理なく4LDKの大きさにすることが可能です。

もし、もっとリビングを広くして3LDKにしたい!という方は、
和室(TATAMI)の部分もLDKにしてしまえば、24帖あるLDKに変貌します。

24帖のリビングは、とても広いですねー!

LDKは24帖もいらないよ…っていう方は、
和室と収納部分をばっさりなくしてしまうのもありです。
そうすると、27坪の平屋に変わるので、コスト面も大幅ダウンします。

続いて、この間取りの特徴を確認していきましょう。

全体のゾーニング

平屋30坪間取り 全体のゾーニング

まず全体のゾーニングについてみていきましょう。
ゾーニングとは、大まかな区分け(配置決め)のことをいいます。

このプランでは、間取りの左側にプライベート空間をまとめて配置し、
右側にパブリックな空間を配置するように設計しています。

ゾーニング計画の基本として、
用途が似た部屋は、近い位置に配置した方が良いでしょう。

玄関周りの特徴

平屋30坪間取り シューズクロークと手洗いスペースを配置

玄関周りに必ず必要なエントランスとホールに加え、
本プランではウォークイン型のシューズクロークと、手洗いスペースを配置しています。

近年注目されているウォークイン型のシューズクローク

元々シューズクロークは、
玄関の横の壁に壁面収納として配置されるパターンが多くありました。
玄関周りは最低限の面積で良い、という考え方が強かったんですね。

しかし最近は、玄関にゆとりを持つと住みやすい家に生まれ変わるという認識が広がり、
広めのホールやシューズクロークを持つ事例が多くなりました。

今回の間取りも、そういうトレンドを踏まえた設計になります。

ちなみに、ウォークイン型シューズクロークには、
大きく分けると細長の形と四角い形の二種類が存在します。
その特徴を簡単に見ていきましょう。

細長ウォークイン型シューズクロークの特徴

細長の形状で作った場合の一番のメリットは、面積が最小限で済むという点です。

平屋30坪間取り 細長いシューズクロークは最小限の面積で作れる

赤線で描いているように、もしシューズクロークを横長の形状で作っていれば、
これだけの面積でウォークイン型の収納を作ることが可能です。

それだけ聞くと横長の形状の方が良い気がしますが、実はデメリットも存在します。

それは、靴以外の収納が難しいこと

そうです。実はシューズクロークって、
靴以外にもいろいろなものを収納することが多いんですよね。

例えば、もし家族に小さいお子さまがいらっしゃれば、
ベビーカーが必要になるでしょう。
ご主人がゴルフをされる場合は、ゴルフバッグが必要ですね。
趣味が釣りであれば、釣り竿やクラーボックスも必要です。

こうした道具は、外の物置に収納する場合もあるのですが、
玄関周りに収納したいという方がとても多くいらっしゃいます。

こうした道具を横長シューズクロークに置きたいと思ったときに、どうなるか。

平屋30坪間取り シューズクロークに収納される道具

この青い丸が、ベビーカーやゴルフバッグになります。

画像のような形状でシューズクロークを使った場合、
通路スペースは約78cm、収納の奥行きは45cm(あるいは30cm)
で計画します。

すると、通路スペースにゴルフバッグやベビーカーが来てしまうと、
シューズクローク奥側の靴が非常に取りにくくなってしまうんですね。

じゃあどこか別の場所に…と考えると、
結局エントランスに置かれることが多くなります

平屋30坪間取り エントランスに置かれる道具

わざわざ間取りにウォークイン型のシューズクロークを取り入れる理由は、
玄関周りをキレイに保つためです。

それなのに、エントランスにゴルフバッグやベビーカーが置かれてしまっては、
もったいないですよね。

四角いウォークイン型シューズクロークの特徴

こうした場合におすすめなのが、四角い形状のシューズクロークです。

平屋30坪間取り 四角いシューズクローク

この画像のように、四角いシューズクロークであれば通路幅の余裕が生まれます。
この余裕があることで、空いたスペースにベビーカーやゴルフバッグが置けるんです。

玄関はキレイに保ちたいけど、いろいろな荷物も置きたい…
という方は、四角いシューズクロークの導入をぜひ検討してみてください。

コロナ以降、急激に増えた手洗いスペース

続いて、手洗いスペースをみていきましょう。
玄関周りのもう一つの特徴は、手洗いスペースが設置されている点です。

実はコロナ以降玄関周りに手洗いスペースを設置したいという方が、
とても多くなっています。
ではなぜ玄関まわりに設置した方が良いのでしょうか。

みなさん、家に帰ってきてから手を洗うときって、どこで手を洗いますか?
たまにキッチンで手を洗うという方もいらっしゃいますが、
多くの方は洗面所で手を洗うと思います。

その際に問題になるのが、家に帰ってきてから洗面所で手を洗うまでに、
いろいろなモノに触れてしまうという点です。

例えば今回の間取りの場合。

平屋30坪間取り 洗面所までの動線

玄関から帰ってきた後、靴を履き替えて洗面所に行きますよね。
その際に、汚れた手で洗面所のドアを開けることになります。(画像の青丸)

つまり、洗面所で手を洗うことで手はきれいになっても、
ドアの取手は汚れたままなのです。

洗面所のドアは日常的に触る部分です。
清潔さを保つためには、外から帰ってくる度に、
ドアの取手を掃除したり、除菌したりしなければならないのです。

幸い、今回のプランでは玄関から洗面所までの距離が近いため、
取っ手の汚れもそこまで気にならないかもしれません。

しかし、もし洗面所までの距離がもっと長かった場合はどうでしょう?

平屋30坪間取り 洗面所までの動線2

例えば、上の画像のようなプランの場合(Sが洗面室、Uがユニットバス)、
洗面所・ユニットバスがキッチンの後ろに来ているプランは、多くみかけますよね。

こうしたプランの場合、まず玄関ホールからLDKに入るためのドアを触り
続いて洗面所のドアを触ることになります。

また、小さい子供は移動しながら壁を触ることも多いので、
壁が一緒に汚れていくこともあるのです。

このような問題を解決するための策が、
玄関周りに手洗いスペースを設置することになります。

平屋30坪間取り 手洗いスペースがある場合の動線

玄関周りに手洗いスペースを設置することで、
帰宅してからすぐに手を洗うことができ、
気持ちよくLDKに入ることができるんですね。

LDKと和室が続き間になっている間取りの特徴

平屋30坪間取り LDKと和室の続き間スタイル

続いて、LDK周りをみていきましょう。
今回の平屋30坪の間取りでは、LDKと和室が続き間(部屋が連続していること)になった形を採用しています。

このパターンは、今回のプランに限らずいろいろな場所で使われる間取りですよね。
もちろん、よく使われるにはそれなりの理由があります。

フレキシブルな暮らしが可能

まず1つ目のメリットとして、フレキシブルな暮らしができるという点です。
こうした間取りの場合、普段は和室の引き戸を開きっぱなしにして暮らすことが多いです。

つまり、LDKと和室は一体となった部屋として使えるので、
18帖のLDK + 4.5帖の和室 = 22.5帖の部屋
として利用することができます。
22.5帖もあれば、十分な大きさですよね。

一方で、もし両親や友人が泊まりに来るといった場合、
この和室の引戸を閉めることで、部屋を区切ることができます。

LDKではみんなでワイワイやりながらも、きちんと個室を準備できるので、
来客が多い方にはおすすめの形状になります。

キッチン先に和室があると子育てがしやすい

2つ目のメリットは、子育てがしやすいこと。

まだ子供が小さい時期って、中々子供から目を離せませんよね。
そういうときに、キッチンから常に目を配ることができる部屋って、
かなり使いやすいんです。

平屋30坪間取り キッチンから和室を確認できる

和室で子供を遊ばせたり、寝かしつけたりしておけば、
キッチンで料理や洗いものをしながらも
すぐに子供の様子を見ることができるんですね。

この続き間スタイルは、小さなお子さまがいらっしゃるご家庭にもおすすめです!

プライベート空間について

最後に、プライベート空間についてみていきましょう。

平屋30坪間取り プライベート空間

ゾーニングの章でも少し触れましたが、
今回のプランではプライベート空間を左側にまとめています。

基本的には大きな特徴はないのですが、
一点、ちょっとした配慮をしている部分があります。
それは、ホールからプライベート空間へ向かうためのドアを設けている点です。

このドアとは別に、すぐ近くにホールとLDKを繋ぐドアがありますよね。
ドアを追加するコストもあるのに、なぜこんな近くに設置したのか。

それは、自分が友人を招いてリビング・ダイニングでワイワイ騒いでいる場合に、
その他の家族がトイレや洗面所へ行きにくくなるからです。

例えば、このドアを設置しない場合をみてみましょう。

平屋30坪間取り 自分の部屋からトイレに行きにくい

自分の子供が部屋にいるとして、ちょっとトイレに行きたいなと思ったときに、
LDKとホールを繋ぐドアしかなければ、
LDKで話し込んでいる人たちと顔を合わせることになります。

あるいは、お風呂に行き来するときにも、同じ現象が起こりますよね。

これって、もし年頃の子供がいたらちょっと気まずいな…と思いませんか?
せっかく自分の家なのに、
来客があったときに水回りに行きにくいというのは嫌ですよね。

平屋30坪間取り プライベート空間に移動しやすいドア

こうした点は、全く気にならない方もいらっしゃいます。
自分や家族はどう思うか話し合いながら、建具の配置もみていくと良いでしょう。

まとめ

以上、30坪 平屋の横長間取りについて解説していきました。
この間取りシリーズでは、いろいろな間取りを事例にどういった特徴があるのかを解説して行く予定です。
よろしければ、ぜひ他の記事もご覧ください!