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LIDOMA -建築士が作る間取りの教科書-

快適な間取りのススメ-洗面脱衣室は収納術を押さえるべし!

こんにちは、二級建築士のLIDOMAです。

毎日使う場所でありながら、工務店やハウスメーカーごとに、
間取りの作り方が大きく変わってくる場所。

それは、洗面脱衣室です。

一般的な木造住宅の間取りでは、1坪(約1.7m x 1.7mの大きさ)の中に、
洗面所と脱衣室を兼ねた空間として、洗面脱衣室と名前の部屋が設計されるケースが多くあります。

しかし、果たして1坪で快適な洗面脱衣室が本当に作れるのでしょうか?

そこで本記事では、新築住宅の間取りを考える際に、
快適な洗面脱衣室をつくるために必要な大きさ・収納の取り方
について書いていこうと思います。

洗面脱衣室の間取りは1坪の大きさでも大丈夫?

先に結論からいうと、洗面脱衣室は例え1坪でも、
普通に使用する上では大きな問題はありません

ただ、もしあなたが快適な洗面脱衣室にしたい!と望んでいるのなら、
1坪ではちょっと狭いかもしれません。

先に書いた通り、標準的な住宅では1坪の間取りで設計されていることが多いのですが、そこでは、最低限の洗面台の利用、着替え、洗濯機を回すといったような行為しか想定されていません。

でも、洗面脱衣室でしたいことって本当にそれだけでしょうか?

良い洗面脱衣室を作るためには、
その場所でどういったことをしたいのかを
具体的にイメージすることが重要です。

そこで洗面脱衣室の使い方について、
一般的な使い方から理想的な使い方まで、

・普段どういった使い方が予想されるのか
・最近よく聞く、もっとこういう使い方ができたらいいのに…という要望

も含めて、一緒に確認していきましょう。

コインランドリー

一般的な使い方

顔を洗う

朝起きたら、まずは顔を洗いますよね。そのためには、水(お湯)を使用できる環境が必要です。
一緒に洗顔をする方であれば、洗顔フォームや泡ネットなどのグッズも近くに必要ですね。
通常、洗面化粧台の中にしまうか、浴室から一時的に取り出すことが多いようです。

歯磨き

洗面化粧台から歯ブラシと歯磨き粉を取り出し、歯を磨きます。
最近は、洗面脱衣室で歯ブラシを濡らしたあと、リビングに移動してTVやスマホを見ながら歯磨きをしたいという要望が増えていますね。

その場合、洗面台は洗面脱衣室に置いておくよりも、廊下沿い等に洗面スペースを作った方が使いやすいかもしれません。

化粧をする

お化粧は、洗面化粧台の前で行ったり、ポーチと鏡と持ってきてリビングで行ったり、それぞれによってスタイルは異なりますね。

洗面化粧台を使う場合、化粧水や乳液などよく利用するものは、化粧鏡の収納スペースに収納することが多い様子です。

化粧道具

洗濯をする

浴室沿いに作られる洗面脱衣室は、洗濯機スペースを設けることがほぼ標準化しています。
洋服を脱ぐと同時に洗濯機に放り込めば、一石二鳥ですね。

ただ、毎日洗濯をするご家庭であれば放り込むスタイルで問題なさそうですが、2,3日に一回というペースだと、湿気を含んだ状態で長時間衣類を洗濯機の中に入れておくのは、カビの心配も生まれます…

また、洗面脱衣室で洗濯を行うのであれば、洗剤、柔軟剤、漂白剤といった洗濯に必要なものを一式準備しておきたいですね。
タオルやバスタオルも、できれば一緒に洗面脱衣室に保管できると家事は効率が良くなります。

でも、一坪サイズの洗面脱衣室だと、この辺りからちょっと苦しくなってきますね…

着替え

洗面脱衣室で着替えをする際は、お風呂上がりに着るための寝具も一緒に持ってきますよね。

できれば、こうした寝具を置くためのスペースがあると嬉しいところ。
もし場所がない場合は、一時的に洗濯機の上に置くことも…(私も、賃貸のお部屋ではそうしていました)。

浴室で使う道具一式

使っているシャンプーやコンディショナー、洗顔等は浴室に置きっぱなしにするのが基本ですが、それらのストックはどうでしょうか?

こうしたストック類、そしてブラシや浴室用洗剤などの掃除道具は、すぐとなりにある洗面脱衣室に収納したいところですね。

また、こうしたストックや掃除道具はあまり見せたくないものになるので、できれば隠せるような収納があるとより良いです。

ドライヤーで髪を乾かす

髪を乾かす

お風呂上がりにすぐ髪が乾かせるよう、既製品の洗面化粧台では、ドライヤー用コンセントと置き場が標準搭載されているものがほとんどです。

もし造作(集成材の板の上に置型の洗面ボウルを設置、というようなタイプ)で洗面化粧台を作る場合は、ドライヤー用のコンセントと置き場を作るのを忘れずに!

手洗い・うがい

外から帰ってきたら、まずは手洗いうがいが必要です。

コロナ禍である昨今では、洗面器を洗面脱衣室ではなく廊下に出したいという要望が増えています。

洗面器が洗面脱衣室にあると、間取りによっては部屋の奥まで行く必要が出てきますし、その場合、手を洗うまでにドアの取っ手やスイッチなど、いろいろなモノを触ることになります。

できれば、こうしたいろいろなモノを触る前に手を洗いたいところですね。

理想的な使い方

一方、こんな使い方ができたら良いね、という理想的な洗面脱衣室の使い方はどういったものになるのでしょうか?

着替えの服

着替え置き場の設置

パジャマや下着など、毎日使う着替えは、
洗面脱衣室に収納場所があると、とても便利になります。

お子様がまだ小さい場合、お子様の着替えも一式収納できると、
時短にも繋がりますね。

室内物干しスペースの設置

洗濯物を外で干すときの一番の課題は、雨の日です。
雨の日は外に干すことができませんから、室内に干す必要があります。

しかし、室内干しは中々乾かない上に匂いも気になる…

なら雨の日は洗濯を我慢して晴れのだけ洗濯をしようと思っても、
梅雨の時期は連日が雨が降るし、共働きであれば、
夕立にも気をつける必要があります。

そこでおすすめなのが、洗面脱衣室を物干しスペースにする方法です。

ホスクリーンと言われる室内物干し器具など、
今ではいろいろな室内物干しグッズが販売されています。

こうしたグッズを活用すれば、
洗面脱衣室を室内干し専用の部屋に変えることもできるのです!

ちなみに、干すときは電化製品の除湿機を一緒に使ってあげるのがポイント。

室内干しをするときに洗濯物が生臭くなるのは、
乾くまでの時間の長さが原因です。

除湿機を活用し、乾く時間を短くすることで、
洗濯物の嫌な匂いはぐっと抑えることができるのです。

洗濯風景

1坪の大きさでは収納が足りない!

こうやって簡単に書き出すだけでも、
洗面脱衣室って本当にたくさんの行動が起きていることがわかりますよね。

収納についても、
たくさんのモノを収納する必要がある
ということが予想できると思います。

これだけ様々な使い方が必要になってくる中で、
1坪の洗面脱衣室は正直、ちょっと物足りない気がしますよね…

実際、IKEAやニトリなどを見て回ると、
洗面化粧台の横のちょっとしたスペースや、
洗濯機の上部を活用する収納グッズが、
とても売れている様子がみて伺えます。

InstagramやRoomClipなど、
SNSで洗面所の画像を検索してみても、
実に多くの人がDIYで収納を追加しているのが分かります。

これは裏を返せば、現状の洗面脱衣室の大きさでは収納量が足りていないということなのです。

では、どういった使い方ができると、使いやすい洗面脱衣室になるのでしょうか?

ここからは、実際の間取りをもとに説明した方が分かりやすいかと思いますので、簡単な間取りを用意してみました。

間取りづくりの具体的な方法

それでは早速、簡単な間取りをもとに具体先を考えてみましょう。

洗面脱衣室の間取りを約45cm伸ばし、
そのスペースを収納スペースとする

まず一つ目の方法としては、
洗面脱衣室の間取りを少しだけ大きくする方法です。

大きくするといっても、大空間が必要だ!
というわけではありません。

実は、1坪の間取りからたった45cm間取りを伸ばし
そこを収納スペースとするだけで、
使い勝手は大きく異なってきます。

洗面所の収納スペースの間取り
洗面所の収納スペースの間取り

この絵を見て分かる通り、難しい話ではなく簡単な変更ですね!

こういった収納スペースを間取りに追加するだけで、
使い勝手は随分変わってきます。

また、収納が足りず泣く泣く色々な場所に直置きしたり、
DIYで新たに収納を作るといった作業も必要ありません。
(DIYはそれはそれで楽しいんですけどね!)

ウォークインクローゼットを隣接させる

次の方法として、洗面脱衣室に隣接した位置
ウォークインクローゼットを設置する方法です。

ウォークインクローゼット(WICと表記することもあります)って、
寝室の収納じゃないの?
と思われる方もいるかと思います。

実は、ウォークインクローゼットを設置する場所は、
寝室だけではないのです!

それでは、具体的な方法を見てみましょう。

洗面脱衣室・浴室・ウォークスルークロークの家事動線
洗面脱衣室からの家事動線

どうですか?
パッと見から、すごく便利そうな気がしません?

ここからは、具体的なメリット・デメリット
交えながらより詳しくみていきましょう。

ウォークインクローゼットを
隣接させた場合のメリット

家事動線がシンプルで生活しやすい

洗面脱衣室のすぐ側にウォークインクローゼットがあれば、

家族の着替えそれぞれの部屋に持って行ったり、
小さな子供の着替えを寝室までいちいち取りに行ったり、
オルや下着の置き場所に困ったり、

そういったちょっとずつ積み重なる負担が、
これ一本で全て解決するのです!

洗面所をキレイに保つことができる

水回りって、できるだけ綺麗にしておきたいですよね。

でも、洗面脱衣室が1坪程度しかないと、
収納が収まりきらず、どうしてもモノが散在したり、
あるいは散らかりっぱなしになったりしてしまいます。

私も以前、散らかっているときに限って来客があり、
「ちょっと手を洗わせてもらっても良いですか?」
と言われ、(げ、ヤバイ…!)と思いながら、
洗面所を案内したことが今でも記憶に残っています。

そんないらぬ心配も、洗面脱衣室の側に
ウォークインクローゼットを取り入れるだけで、
解決してしまうのです!

ウォークインクローゼットの空間

ウォークインクローゼットを
隣接させた場合のデメリット

ここまでメリットをみていくと、これはもう
洗面脱衣室の側にウォークインクローゼットを作るしかない!
と思うのですが、もちろんデメリットもあるのです。

延床面積が増える

これは真っ先に思いつくデメリットかと思いますが、
部屋を広く取る必要が出てくる分、
どうしてもコストは高くなってしまいます。

もし既に予算いっぱいいっぱいになっている場合、
リビングの面積を削ったり、
他の収納のスペースを削ったりする必要が出てくるかもしれません。

リビングの快適さをとるか、日常の生活のしやすさを取るか、
優先事項を意識しながらゆっくり考えてみましょう。

浴室の近くは湿気が気になる?

お風呂→洗面脱衣室→ウォークインクローゼット
と部屋が続いている場合、

なんだかクローゼットの方に湿気が入ってきそうで気になる…
と考えられる方も多いです。

しかし、一概に全く問題ありませんとは言えませんが、
換気の仕方に気をつければ、
そこまでシビアに気にする必要はないと、私は考えています。

というのも、洗面脱衣室には通常、
24時間換気という換気扇が設置されることが多いのです。

換気ダクト

この24時間換気というものは、建築基準法で定められた、
一日中付けっぱなしにしておく必要のある換気扇のことを言います。

一番湿気の多い浴室は使用後にしばらく換気扇を回しますし、
洗面脱衣室は24時間換気で常に換気されています。

つまり、このウォークインクローゼットまでは、あまり湿気が来にくいのです。

それでもやっぱり湿気が気になるという方は、
壁を調湿作用の高い漆喰等で仕上げると、より安心できるかと思います。

ただ一点注意して欲しいのが、
ウォークインクローゼットの方に換気扇を設置する場合、
設置位置と換気のタイミングに気をつける必要がある
ということです。

どういうことかというと、もし洗面脱衣室の換気扇が回ってなく、
ウォークインクローゼットの換気扇のみが回っている場合、
浴室や洗面脱衣室の湿気は、
全てウォークインクローゼットの方に流れてきてしまいます。

たまに、洗面脱衣室に換気扇を設置せずに、
ウォークインクローゼットに24時間換気を設置している家をみますが、
空気の流れについては気をつけておいた方が良さそうです。

washroom

まとめ

以上、洗面脱衣室を快適にするための解説をしていきましが、
いかがだったでしょうか。

いろいろな間取りをみていると、
洗面脱衣室は1坪で作られていることが多くあります。

しかし、こうしてそこで行われる行為を一つ一つ見てくと、
1坪じゃちょっと心配かも?と思われる方も多いかもしれません。

もちろん、私は生活の利便性よりもゆったり広々としたリビングが重要!
という方も多くいらっしゃいますから、そういった自分が快適と思えるスタイルを追求することが重要なのです。

ちなみに、このウォークインクローゼットは、
紹介したパターン以外にも、リビングに持ってくるという方法もあります。

リビングの収納って軽視されがちなのですが、実際住み出してみると、
掃除用具やちょっとした書類、日常的に使うものなど、
細かいものがどんどん増えていくんですよね。

そうした時にリビングの大きな収納、
通常リビングクロークと呼ばれる収納スペースを作ってあげると、
ごちゃごちゃしたものは全てそのスペースに収納することができます!

リビングがいつも片付いていると、くつろぐときにゆったりできますし、
急な来客があっても心配事項が少なくなります。

この辺りの具体的な方法は、また追々記事にしていきますね。

以上、二級建築士のLIDOMAがお送りしました。