- 2020.04.05
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- 2021.12.18
「家事楽な動線の間取り」ってご存知ですか?-家事の動きを意識すれば、劇的に快適になる!-
人が生きていく上で、欠かすことのできない仕事…それは家事。
中でも家事動線は、家事を楽にするためにとても重要な考え方です。
そこで今回は、 家事を楽にする、家事楽な動線の間取りについて、解説していきます。
動線の種類
動線とは
そもそも動線とは、どういったもののことをいうのでしょうか。
動線とは、日常生活の中で建物内を行き来する経路のことをいいます。
家事動線とは
その中でも、家事のために行き来する動線のことを、家事動線というのです。
洗濯機が置いてある洗面所から、物干し場に行くまでのルートだったり、キッチンからお風呂までのルートだったり、家事を行う際の通り道ということですね。
家事を楽にする、家事楽動線
そんな家事動線ですが、家事を楽にするためには、この家事動線を短くする必要があります。
先程の例でいえば、洗面所から物干し場までの距離が短いと家事はとても楽になりますよね。
しかし、洗面所が1階にあって、物干し場が2階の奥にしかないとなると、移動距離が長く家事はとても大変になります。
動線以外にも、収納場所が大事
また、家事を楽にするために必要なものは動線だけではありません。
必要な位置に、ちゃんと収納が設置されていることが重要です。
つまり、大きな収納が一つあるよりも、小さな収納が必要な場所ごとにある方が家事楽になるのです。
大きい収納だけでは家事がしにくくなる
例えば、LDKに全ての収納を兼ねた、大きな収納が一つ置いてあるとします。
一見、収納力があってとても便利な気がしますが、掃除機等の掃除道具をとるときから、調味料などのストックをとったり、お風呂掃除用の洗剤ストックをとりだしたり、全ての作業はいちいちその収納場所まで移動しなければいけません。
それって、結構面倒くさそうだなと思いませんか?
必要な場所に必要な収納を
一方、必要な場所に必要な収納がある場合はどうでしょうか。
・掃除機などはLDKや廊下沿いの収納に保管
・調味料などのストックはキッチン横のパントリーに設置
・お風呂掃除の道具とストックは、洗面脱衣所に小さな収納スペースに収納
という形にすれば、家事楽になりそうですよね。
必要な場所に必要な収納を作ることで、無駄な動線を減らした結果、家事楽な間取りになるのです。
でもいきなり家事動線やら間取りの配置やら言われても、中々イメージしづらいですよね。
そこで、参考例として家事楽な回遊動線を取り入れた間取りを作成しました。
ぜひこちらの間取り図を参考にしながら読み進めていってみてください!
家事を楽にする間取りの参考例
今回作った間取りのポイントは、下記点です。
- 家事が捗る回遊動線
- ファミリークローゼットはとても便利
- リビングクロークを設置することで、リビングをキレイに保てる
それで早速中身を見ていきましょう。
家事は同時進行に行うことが多い
ここで一つ質問です。
家事って、一つのことを集中してやるよりも、同時進行で行うイメージがありませんか?
例えば、
料理を作っている間にさっとお風呂を入れたり、
洗濯機を回している間にお皿を洗ったりと、
日頃の家事をスピーディーに行うためには、同時進行する方が効率が良い気がしますよね。
家事は行き来を減らすことが大事
家事を同時進行で行う際、
キッチンで料理をしている最中に洗面脱衣室に行って洗濯機を回したり、
その後またキッチンに戻って料理の続きをしたり、
日々の家事の最中で同じルートを何度も行ったり来たりします。
よく水回りはコンパクトに配置した方が良いと言われますのが、
その理由は、家事の行ったり来たりする時間を減らすためなんですね。
キッチンと水回りの位置が近いと家事が楽
では水回りがコンパクトになるとどういうメリットがあるのか?
今回作った間取りを元に見てみましょう。
この間取りでは、キッチンのすぐ横にパントリースペースを作り、そこから洗面所へアクセスする動線を作っています。
料理中のちょっとした隙間時間に、お風呂を入れたり洗濯物を回したりすることができるので、無駄な時間を作らずに日常の家事をスムーズに行うことができます。
家事動線を短くすることで、すぐ別の家事に移行できますし、近くに家事室があれば、調理中のちょっとした時間に別の家事をすることもできますよね。
もし使用する洗濯機がドラム式洗濯機であれば、脱衣室内で乾燥まで行えるので、乾燥後にパントリーの家事スペースで洋服をたたむことも可能です。
家事楽にするために回遊動線は必須
色々な家事楽動線がある中で、ぜひお勧めしたいのが回遊動線を取り入れた間取りです。
回遊動線とは
回誘動線とは、各部屋をぐるりと回ることのできる動線のことを言い、行き止まりがなく、両方向から部屋にアクセスできるといったメリットがあります。
つまり、移動するときの効率が良くなるのです。参考間取りを見てみましょう。
回遊動線を取り入れた間取り
この間取りでは、
LDK⇔洗面所⇔脱衣室⇔ファミリークローゼット⇔廊下⇔LDK
と、各部屋を通りながら次の部屋へグルグルと移動できる間取りになっていますよね。
こうした回遊動線を作っておけば、
①洗面所でお化粧を落とす
↓
②脱衣所を通ってファミリークローゼットで下着とパジャマを取る
↓
③脱衣所へ戻り抜いた服を洗濯かごに入れてお風呂に入る
という、一連の動きがスムーズに行うことができるので、家事楽な生活を送りやすくなるでしょう。
部屋の使い勝手が向上
また、回遊動線は両方向からアクセスできるようになっていますので、家族の誰かが脱衣所と浴室を使っている間も、他の人が洗面所を使用したり、ファミリークローゼットを使ったりすることができるのです。
誰かがお風呂に入っている間、洗面脱衣所がつかないので顔を洗ったり歯磨きをしたり手を洗ったりできないから不便…
という声は、間取りあるあるで大変よく聞く話ですね。
部屋をきれいに保つにはリビングクロークがおすすめ
さらにこの間取りでは、リビングのテレビボードの裏にリビングクロークも設置しています。
リビングクロークとは
リビングクロークとは最近耳にすることが多くなってきた、リビングにたっぷり容量の収納を作ろうよ!という概念です。
リビングクロークの魅力やおすすめの配置などはまた別の記事でご紹介しようと思いますが、こうした部分に回遊動線を作っておくと、来客があったときにさっとモノをしまう部屋として活用できますし、子供の遊び場にもなります。
今流行のテレワークスペースとしても利用できそうですね。
こうした事は本当にちょっとした気配りなのですが、この辺の気配りを考えるか考えないかで、住みやすさは大きく変わってくるのです。
家事はストレスとの戦い
家事楽な間取りを実現するためには、家事動線を短くすることは重要です。しかし、その他にもちょっとした配慮を取り入れることで、家事は楽になります。
キッチンの通路幅は使い勝手に直結
例えばキッチンを例に挙げると、キッチン本体の設備や収納力も大事ですが、
バック収納(食器棚)との間の通路幅を何cmとるかで、
家事の効率は大きく変わってくるのです。
この通路幅、意外とあまり意識していない方が多いので要注意!
一人でキッチンを使用する際の通路幅
キッチンの通路幅は、1人で使用する場合、80cmから90cm程度の幅が理想になります。
なぜ80cmから90cmかと言うと、この通路幅であれば、
料理をしながら後ろを振り向いてすぐにバック収納を使うことができるので、
調理する上で無駄な動きがないのです。
これが1m20cmなどの幅広い通路幅になると、皿や調理道具を取ろうとするたびに、よいっしょっと1歩踏み出さなければならず、面倒くさいなぁとストレスになりやすいのです。
二人でキッチンを使用する際の通路幅
一方でキッチンを二人で使用する場合、80cmから90cmという通路幅は、とても狭く感じるようになります。
二人で使う場合は、片方が調理中の時に片方は洗い物を、片方が野菜を切っている間に片方がコンロや冷蔵庫を使用するなど、作業を分担して調理を進めていきますよね。
そうすると、作業の合間でお互いがお互いの後ろを通ることが何度も起こります。
そのときに、通路幅が80cmから90cm程度しかないと、後ろをちょっとすり抜けるといった移動が大変やりにくくなってしまうのです。
もし、片方が包丁を扱っているときにどんとぶつかってしまったら…などと考えると、とても怖いですよね。
そういったことにならないよう、二人でキッチンを使用することが多い場合は、通路幅を120cm程度とることをお勧めしています。
120cmあれば、片方が洗い物をしていても楽に後ろを通ることができますので、お互いの作業を邪魔することがなく、ストレスなく料理に集中できますよ。
ファミリークロークがあると収納がとても楽
ファミリークロークと言う概念をご存知でしょうか?
夫婦共働きの家庭が増えていく中で、もはや家事はお母さんだけが行うものではありません。
いかに家事をしやすく、またみんなが協力しやすい間取りを作っていくかがとても大切なのです。
しかしそうはいっても、お父さんや子供たちは基本的に家事初心者です。難しい家事や、作業が大変な家事は上手くいかないこともしばしば…。
そういったご家庭には、ぜひファミリークロークを導入をオススメします!
ファミリークロークとは
まずファミリークロークという言葉の意味ですが、これは家族共用の収納のことをいいます。
家族のための収納というと、普通はそれぞれの部屋に1畳程度の収納があるよな形をイメージしますよね。
でも、よくよく考えると、家族一人一人のために、それぞれの部屋まで洗濯物を持っていくのって、とても大変ではありませんか?
そこで登場するのがファミリークロークです!
このファミリークロークを、洗面脱衣室の近くなど、家事をする上でよく使う部屋沿いに設置しておくと、家族みんなが家事を手伝いやすくなります。
ファミリークロークがあることで家族が家事を手伝いやすい?
一体どういうことでしょうか。ちょっとわかりにくいですよね。
ファミリークロークの設置例
そこで1つの事例を挙げてみましょう。
洗面脱衣室のすぐ近くに、一つのファミリークロークを設置したとします。
このファミリークロークの中に、よく使う洋服やパジャマなど、家族みんながよく使う衣類を収納しておきます。
その結果、お風呂の前にファミリークロークに行くことですぐ着替えを取れますし、逆に朝着替える時にもパジャマをファミリークロークに戻し洋服を着ることができますので、リビングなど他の部屋を散らかしてしまう心配が少なくなります。
でも、何より助かることがもう一つ。
今まで家族全員の洋服を、それぞれの部屋に持っていっていたのが、ファミリークロークを設置することで、その中に洋服を置いておくだけ済むのです!!
後は、家族各々が必要に応じて自分の部屋に持っていくようにすれば、家事の負担が家族みんなに分散され、家事楽になっていくのです。
家族全員で家事を負担することが大事
こういうふうに、家族一人一人が少しずつ家事の手間を請け負う仕組みを作れば、家事の負担はずっと軽減されていきます。
ファミリークロークは建物面積を増やしてしまうので、一概にどの家にも設置できるわけではありません。
しかし、家事楽に興味のある方は、ぜひ前向きに検討されてみてください!
最後に
最後に家事楽な間取りの作り方についてまとめておきます。
家事楽な間取りを作る上で重要なことは下記の事項になります。
- 家事動線を短くすること
- 家事動線は、回遊動線を作ることで効率アップ
- 家事を分担できる仕組みを考える
たとえ全部を取り入れることは出来なくとも、一部採用するだけでぐっと家事効率は上がっていきますので、間取りを考える際にはぜひ参考にしてみてくださいね。
以上、二級建築士のLIDOMAでした。