- 2020.08.27
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- 2021.12.18
着工前後の図面変更への対応でわかる、良い工務店の見分け方
こんにちは、二級建築士のLIDOMAです。
家づくりをスタートしてから着工するまでには、実に多くのことを決める必要があります。
その中で、あなたがワクワクしながら決めた内容もあれば、
正直よく分かってないんだよなーと思いながら打ち合わせを行った内容もきっとあるでしょう。
そして、いざ着工します!となったときに急に不安になるのが、
“果たして本当にこの内容で良いのかな?”ということ。
あるいは、最終確認で図面を見直していたときに、
やっぱりココを変更したい!と思うことも少なくないかもしれません。
すると、”もうすぐ着工するんだけど、まだ図面の変更は出来るのかな…?“
という考えが生まれます。
こういう場合、良心的な工務店だと工事ギリギリ、あるいは着工後でもきちんと対応してくれそうですよね?
しかしちょっと待った!!!
実は、対応がしっかりしている工務店・施工会社や、きちんとモノづくりのことを考えている工務店ほど、
着工直前の図面変更は簡単には認めないのです!
こう聞くと、なんだかとても不思議な気分になりますよね。普通、対応が良い工務店ならスムーズに変更を承諾してくれるんじゃない?と。
もちろん初期の打ち合わせ段階では、大抵の工務店は変更を快く承諾するでしょう。問題は、着工時のタイミングで変更をどう対応するか?がポイントなのです。
それは一体どういう理由なのか?具体的に解説していきましょう。
1.良い工務店は、直前の図面変更が及ぼすリスクを十分に把握している
なぜ直前の図面変更の対応の仕方によって工務店の良い悪いが分かるかを説明するには、
最初に図面決定後にどういう流れで工事が始まっていくのかを説明しなければなりません。
1-1.建築現場の流れ
建築の現場というのは、とても多くの業者さんが関わってきます。
住宅の基盤となる基礎をつくる基礎屋さんから、
・木材を準備する材木さん、プレカット屋さん
・それを組み立てる大工さん
・外壁を貼り付ける外壁屋さん
・建具や家具をつくる建具屋さん、家具屋さん
・キッチンやユニットバスを準備する各メーカーさん
・配管工事を行う設備屋さん
・電気工事を行う電気屋さん
などなど。まだまだたくさんの業種があるぐらい、本当に多くの業者さんが関わってくるのです。
これだけ多くの業者さんが関わってきたときに起こりがちなのが、
“一体どれが最新図面なの?”
ということ。
上記に挙げた業者さんたちは、それぞれ現場に入ってくる時期が異なります。
基礎屋さんであれば真っ先に現場に入りますし、
外壁屋さんであれば上棟後、
建具屋さんであれば木工事があらかた終わった後、
という風に、ある工事が終わった後に次の職人さんたちが入ってくる、
ということになるのです。
そして、これらの職人さんたちをまとめあげる一言が、各現場を担当する現場監督。
現場監督は、現場の進み具合を見ながら、次の工事を行う業者と打ち合わせを行なっていきます。
つまりこのときに、職人さんたちは最終的に工事を行う図面を確認するのです。
1-2.途中で図面変更を行うリスク
では現場の途中で図面変更を行うと、どういったことが起こるのでしょうか?
まず、早い段階から現場に入っている職人さんと、後から入ってきた職人さんとで、持っている図面が異なってくるというリスクが生じます。
例えば、現場の初期から入ってくる大工さんは、最初に渡された図面を元に工事を行なっていきます。
大工さんによっては、その図面に直接、自分が気になっていることやどうやって工事を行うのかについて手書きしていることも多いです。
その途中で図面の変更が行われるとします。
建具の大きさを何箇所か変更したとしましょう。
すると、後から現場に入ってくる建具屋さんは変更後の図面を渡されているので、この内容で現場は進んでいるものと思って現場に入ってきます。
しかし一方で、大工さんは着工時の図面を元に工事を行なっていますので、いざ建具屋さんが現場に入ったときに、
あれ?もらった図面と現場の内容が違うよ??
となるのです。
もちろん、こういったことが起こらないために現場をコントロールするのが、現場監督の腕の見せどころ。
途中で現場の変更があればその都度、必要な職人さん・業者さんに変更内容を伝達し、現場を調整していくのです。
1-3.良い現場になるかどうかは現場監督次第?
ここまでの流れを見ていくと、結局のところ着工後の図面変更を認めるか認めないかは、現場監督の腕次第ってこと?
良い工務店には、良い現場監督がいるはずだから大丈夫じゃないの?
と思われる方も多いかと思います。
確かに、現場監督がもつ現場数が少なく、また現場の変更が少なければそこまで大きなミスは起こらないでしょう。
しかし、現場監督がもつ現場数が多くなってきたり、現場の変更が多くなってくるとどうでしょうか?
いくつもの現場で色々な種類の変更が起こってくると、
この現場では、建具の大きさの変更があったから大工さんに変更した平面図を渡さないと。
あの現場では、照明プランが変わったから大工さんと電気屋さんに照明プランの変更を伝えないと。
昨日の現場でも建具の大きさと照明プランが変更になったから、えーっと…
という具合に、
・いつどの現場でどういう変更が行われたか
・そしてその変更内容を誰に伝えたか
という確認作業に多くの時間が費やされてしまいます。
その結果、肝心な現場の進み具合がどうか、何かミスが起きてないかの現場チェックに漏れが生じ、現場の工程が遅れたりミスが起きたりしてしまうのです。
それに、良い現場になるかどうかは現場監督の腕次第って言われると、自分の家は一体どんな現場監督になるんだろう…と不安になりますよね。
そういった、現場監督ごとで建つ家の出来が変わることがないよう、良い工務店はスムーズに現場が進むようなやり方を考えているのです。
1-4.建築現場に多くの業者が関わるリスク
また、複数の現場を同時進行するのは何も現場監督に限ったことではありません。
昨今は大工不足により、大工さんが一時的に違う現場へ手伝いに入ることもありますし、電気屋さんや設備さん、そして各メーカーも日々多くの現場に関わっています。
そうした中で現場で何度も変更が起きてしまうと、現場監督が間違いなく現場を進めていても職人さんが間違えたり、メーカーさんが発注を間違えたりすることも起きてしまうのです。
すると現場が遅れたり、最悪、一部壊してやり直すような事態にもなりかねません。そのことによって迷惑を被るのは建築主さんなのです。
まとめ
さて、
きちんとモノづくりを行なっていたり、工事管理がしっかりしている工務店・施工会社が、簡単には図面変更を認めない理由
を記載していきましたがいかがだったでしょうか。
もう、その理由は分かりましたよね?
図面変更を簡単に認めない理由、それは図面変更によって起こりうるリスクを十分に理解しているからなのです。
逆に、簡単に図面変更を許す工務店・施工会社は、工期がすぐ遅れたり、いざ現場を見にいくと図面と異なっていることも…
こういったトラブルを起こさないためにも、とにかく着工までにイメージを具体的に行い、図面・仕様を詰めることが大事なのです。
その中で、どうしてもココだけは変更したい…という箇所が生まれるかもしれません。
そのときは、遠慮なく工務店へ変更の旨を伝えましょう!
きちんとイメージを膨らませた中でどうしても変更したいと思う箇所は、
きっとあなたにとって大事なポイントになっているはず。
以上、LIDOMAでした。