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LIDOMA -建築士が作る間取りの教科書-

住宅の階数はどれがベスト!?平屋VS二階建てVS1.5階建て それぞれの特徴とタイプ

こんにちは、二級建築士のLIDOMAです。
家が欲しいと思ったときに悩むのが、階数選び

以前は魅力的な平屋が少なかったこともあり、家を建てるといえば2階建てが主流でした。
しかし最近では、かっこいい外観に、住みやすい間取りの平屋がとても多くなりましたね。

そうすると悩ましいのが、平屋にするか、2階建てにするかという問題。
この2つに加え、ハイブリットタイプの1.5階建てなんてものもあるから、余計に悩ましい…!

平屋、二階建て、1.5階建ては、メリット・デメリットが大きく異なることからも、
自分がしたい暮らしは、どの階数タイプが合っているのかを知ることが重要です。

そこで本記事では、平屋、二階建て、1.5階建てのメリット・デメリットを確認しながら、
あなたがしたい暮らしはどのタイプが一番良いのか一緒に考えてみましょう。

年々人気が上昇している平屋の魅力

近年、平屋を建てたいという要望がかなり増えています

しかし一方で、色々と検討した結果、
最終的に平屋を諦めたという方も多くいらっしゃいます。

何故か?
それは、平屋はメリット・デメリットがはっきりしていることが一つの要因でしょう。

平屋ってどういう家?

まずは、平屋の定義について。
平屋とは、1階建ての住宅のことを言います。

2階建ての家と比べ、上の階に建物がないことから、自重が軽く耐震性に優れています
また階段を上がる必要がないので、老後は二階が使えなくなってしまうかも…という不安もありません。

一方で、二階建ての住宅に比べ、コストが割高になってしまうという側面もあります。
詳しくは、次の章でみていきましょう。

平屋の外観

平屋のメリットは何か

耐震性が優れている

平屋のメリットとして最初に考えられるのが、耐震性が優れているという点です。

建物の耐震性は、建物自体の自重や構造壁のバランスがとても重要になるのですが、
平屋はこの点が非常に優れています。
上に何も来ないので、自重が軽く、バランスも良いんですね。

二階建ての場合は、平屋に比べて自重が重くなりますし
柱の位置や構造壁のバランスも気をつけなければいけません。

ちなみに、このバランスを確認する一つの指標として、直下率というものがあります。
1階と2階の柱と壁の位置が、どれぐらい一致しているかを確認するんですね。

実は熊本地震の際に、建物の耐震性において直下率は非常に重要という見解が出されています。

熊本地震では耐震等級2の住宅も倒壊してしまったのですが、
その倒壊した住宅では、直下率が基準と比べ極端に低かったことが報告されています。

これだけ重要な直下率ですが、建売会社や地方の工務店においては、
特に計算して設計されていないことも多いのが現状です。

一方で、平屋は上の階がないので直下率を気にする必要がありません

間取りに無駄がなく住みやすい

平屋は、同じ階に全ての部屋が集まるため、無駄な廊下が出来にくいのが特徴です。
階段も不要になるので、同じ面積の2階建てと比べ、1.5坪〜2坪程度コンパクトに計画できます。

つまり、二階建ての32坪の住宅と同じような広さが、平屋では30坪で実現できるのです。

生活が1階で完結するので老後も安心して住むことが可能

平屋のメリットとして一番よく挙げられるのが、生活が1階で完結するということです。

二階建ての場合は、寝室や主な収納が二階に設置されることが多いので、
歳をとり足腰が弱くなってくると、二階が使いづらくなります。
間取りによっては、そこで暮らすことが難しく、最悪引っ越さないといけないということも…

しかし、平屋であればそのような心配は必要ありません。
生活の全てが1階で可能になりますので、生涯を自分の家で暮らすことができるのです。

平屋のデメリット

今までは良いところばかりでしたが、もちろんデメリットもあります

コストが割高になってしまう

平屋のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、コストパフォーマンスが悪いこと
同じ延べ床面積(建物の床面積の合計)の二階建てと比べ、どうしても金額が高くなってしまいます。

その理由は、屋根と基礎の面積にあります。

二階建ての住宅は、延べ床面積に対して屋根と基礎の面積が半分程度で済むのに対して、
平屋の場合は延べ床面積が丸々屋根の面積、及び基礎の面積になってしまいます。

屋根と基礎は住宅のコストの中でもかなりの割合を占めますので、
二階建ての住宅と比べてコンパクトに作れるといっても、総額ではどうしても高くなってしまいます

土地が広くないと建てられない

平屋は、二階建てと比べ土地が広くないと建てることが出来ません
特に都心では、敷地面積の都合上、二階建てしか建てることが出来ない場合も多いのです。

コストパフォーマンスに優れた二階建ての魅力

二階建てってどういう家?

続いて二階建てについて。
二階建ての住宅は、階数が1階と2階とに分かれている住宅のことを言い、
平屋と比べて狭い敷地でも建築可能であり、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。

2階建て住宅の外観

二階建てのメリット

コストパフォーマンスが高い!

平屋のデメリットの章でも触れましたが、
二階建ては同じ面積の平屋と比べ、屋根と基礎が半分で済みます
つまり、床の面積に対する費用である坪単価が安くなるのです。

坪単価が安くなれば、建築費用を抑えたり、あるいは贅沢をしたい部分にお金をかけたり出来ます。
これは家を建てる上で、大きなメリットとなります。

狭い敷地でも家を建てることが可能

家を建てる際の最初の難関は、“土地探し”です。
この土地探しは非常に根気のいる、大変な作業になります。
(既に土地をお持ちの方はこの手間が省けます)

何故なら、日当たりが良く敷地の大きさもちょうど良い。そしてお値段もお手頃!
なんて土地は、よっぽどのことがない限り出てきません

そうするとどこかで妥協する必要があり、日当たりが悪い土地であったり、敷地が狭かったり、
あるいはお値段が高い土地だったりを選ぶ必要がある訳です。

そんなときに二階建てであれば、
日当たりの悪い土地には2階にLDKを持ってきたり、
狭い敷地にも建物が建てられたり、
少しお値段が高い土地であっても建物を工夫してコストを下げたり
いろいろな対応をすることができます。

二階建てのデメリット

良いこと尽くめの二階建てのように思えますが、平屋同様、デメリットもあります。

老後の使い方が難しい

一番の問題は、老後の使い方です。
階段があることによる移動のし辛さ、つまり二階への行きにくさが問題になるのです。

一般的な二階建て住宅の場合、一階に玄関、お風呂などの水回り、
そしてLDKを配置するのが基本の形となります。
そして主寝室や子供部屋などプライベートな部屋については二階に配置するのです。

普段の着替えや寝具など、毎日使用するものを二階に置いているわけですから、
将来的に使えなくなると、かなり生活が不便になりますよね。

この問題への対策としては、
1階に収納のある居室を持ってくること
洗面脱衣室の周辺に着替えを収納できるスペースをとること
などが挙げられますが、全ての間取りで実現できるわけではありません。

自分が高齢になっても住み続けたいと思う場合は、
将来的に二階が使えなくなる可能性も考えながら、間取りを考えましょう。

今流行りの1.5階建て住宅(ロフト付き住宅)とは?

最近、アウトドア系の住宅などで注目されている1.5階建ての住宅ってご存知でしょうか?

1.5階建ての住宅とは、
平屋の建物に小屋裏部屋(ロフトなど)があったり、
スキップフロアという中二階があったりする住宅のことを言います。

1.5建ての住宅は、平屋の使いやすい伸び伸びとした間取りを基本に、
二階建てに使われる大きな吹き抜けやロフトを取り入れた、良いとこ取りの住宅なのです!

それでは早速、どういうメリット・デメリットがあるのかをみていきましょう。

1.5階建ての住宅(ロフト付き住宅)のメリットとは?

1.5階建ての住宅と2階建ての住宅では何が違うのかというと、
それは階ごとの距離感です。

2階建ての場合、1階と2階はそれぞれの階として切り離されてしまいますよね。
(吹き抜けがある場合は別)

1.5階建ての場合はLDKの吹き抜け沿いに作られたり、あるいは階段の途中に作られたりと、
1階の部屋と繋がりを持った位置に作られるので、1階部分と一体感のある空間づくりが可能です。

一体感を作り出せば、通常の平屋と比べ広々としたゆとりのある空間になるでしょう

また、1.5階建て住宅はトータルコストが安くなりやすいです。
つまり、ローコスト住宅としての設計することも可能なんです。

1.5階建ての住宅は、
LDKの天井部分の余剰空間を利用したり、
あるいは階段の途中部分を使用したりと、
デッドスペースと呼ばれる無駄になりやすい空間を活用しています。

こうした活用は、独立した階として作る二階建てと比べて、
床面積に対する費用が低くなりやすいのです。

平屋にしたいけれど、敷地の大きさやコストの関係で完全な平屋は難しそう
でも二階建てにはしたくない…
という方にも、1.5階建て住宅はおすすめの方法になります。

1.5階建ての住宅(ロフト付き住宅)のデメリットとは?

1.5階建て住宅のデメリットは、
1.5階部分のプライバシー性が低いことが挙げられます。

1階部分との距離が近い分、プライバシー性が低くなりがちなんですね。
なので1.5階建て住宅を計画する場合は、
プライバシー性を重視したい部屋を1階部分にもってくることをお勧めします。

まとめ-平屋建てに向いている人、二階建てに向いている人、1.5階建てに向いている人

平屋建て、二階建て、1.5階建て、それぞれの特徴をみてきましたが、最後にそれぞれの住宅タイプに向いている人をまとめておこうと思います。

平屋建ての住宅に向いている人
平屋建ての住宅に向いている人の特徴は下記の通りです。
* 老後も安心して過ごせる住宅に住みたい
* 無駄のない間取りで暮らしたい

二階建ての住宅に向いている人
二階建ての住宅に向いている人の特徴は下記の通りです。
* コストパフォーマンスを重要視している
* 敷地があまり大きくない
* 個室のプライバシー性を重要視したい

1.5階建ての住宅に向いている人
1.5階建ての住宅に向いている人の特徴は下記の通りです。
* 基本は平屋にしたいけどコストパフォーマンスも気になる人
* 周りの人とは違う個性的な家に住みたい人

どのタイプもそれぞれ素敵な特徴がありますので、ぜひ色々なタイプを検討してみてくださいね。
以上、LIDOMAでした。