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LIDOMA -建築士が作る間取りの教科書-

住宅街のイメージ

一戸建てVSマンション-価格以外にも知っておきたい家作りの重要な三大要素(居住環境・立地環境・管理)について知ろう-

そろそろ家が欲しいな…と思ったときに最初に考えるのは、一戸建て(一軒家)にするかマンションにするかということではないでしょうか。

そこでとりあえずインターネットで調べてみるものの、販売価格やコストメリットの話ばかりだったり、色々な項目でいくつものサイトを巡ってみたり…調べれば調べるほどどちらが良いのか分からなくなってしまいます。

そこで本記事では、一戸建て(一軒家)とマンションとを比較する上で重要と思われる項目として

  • ①居住環境-住まいの快適さに関わる項目
  • ②立地環境-日々の生活の快適さに関わる項目
  • ③管理体制-住まいの維持管理・防犯・防災に関わる項目

という三大項目をリストアップし、更にその中から要素を11項目の詳細に分けながら一戸建てとマンション、どちらが優れているのかを検証してみました。

先に結論から確認したい方は、下記目次の”まとめ”をクリックしてくださいね。

それでは早速確認していきましょう!

①居住環境-住まいの快適さに関わる項目

新しい住まいのことを考えるときにまず気になるのが、どういった住まいにしたいのかということですよね。

今までとは違う広いキッチンにも憧れるし、日々の生活を考えると家事動線の良い水回りにした方が良い、リビングはやっぱりゆっくりできるような広さにしなきゃ!などなど…新しい家のことを考えると、たくさんが夢が膨らみますし、何よりそういったことを考えている時間って楽しいですよね。

また、夏は心地良い風が吹いてきたり、冬は暖かく過ごしたりできることも、住まいには大切な要素になってきます。

そこで本項目の居住環境では、こうした毎日を過ごす住まいについて、広さ・間取りの自由度・採光通風・断熱性・防音性の5項目に分けて解説していこうと思います。

①-1.住まいの広さについて

まず住まいの広さについてですが、皆さん、家はもちろん広い方が良いですよね。広過ぎるのも考えものですが、ほどほどの広さは快適な住まいにおいてやはり重要です。

そこで一戸建て(一軒家)とマンションとで平均的な建物面積(居住部分の面積)を比較しましたところ、建物面積は一戸建ての方が広くなっていることが分かりました。

マンションの市場動向をみてみますと、分譲マンションの間取りでは3LDKが最も多く供給されており、1戸あたりの平均面積が70㎡前後(21坪)になっているのに対し、一戸建て住宅の広さはほとんどが27坪以上(90㎡)の面積になっているのです。

昨今の建売住宅では4LDKの間取りが最も多くなっていることからも、広さについては一戸建て(一軒家)の方に軍配が上がりそうです。

もちろん、あくまで平均的な数値の話であり、広さに関しては販売金額によって大きく上下する項目でもありますので、一般的な数値というところに留めておいていただければと思います。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →一戸建て Win!

①-2.間取りの自由度について

続いて、間取りの自由度についてです。間取りの自由度は、一戸建てとマンションとで大きく異なってきます。

一戸建て(一軒家)を購入しようと思った場合、既にプランの決まっている建売住宅はもちろん、ハウスメーカーによるセミオーダー住宅から設計事務所等にお願いする注文住宅まで、幅広く間取りの検討を行うことができます。

間取りはプロにお任せしたいという方はコストパフォーマンスの高い建売住宅を選ぶことが出来ますし、コストパフォーマンスは気にしつつも自分のこだわりを少し取り入れたいという方はセミオーダー住宅、自分が理想とする家を建てたい!という方は注文住宅など、間取りの自由度はとても高なっています。

一方マンションはどうかというと、通常の分譲マンション(一つの建物を、住戸毎に販売しているタイプのマンション。簡単にいうと購入できるマンションです)は、建物が建てられる段階で内部の間取りが決まってしまいますので、決められた間取りしか選ぶことができません。

また、その間取りについてもマンションの構造上、パターン化されたものが多くなっており、間取りの自由度という観点から見るとあまり自由度は高くありません。

以上のことから、間取りの自由性については、一戸建て住宅の方に軍配が上がります。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →一戸建て Win!

①-3.採光・通風について

採光・通風についても、快適に感じる住まいを作る上でとても重要な要素になってきます。朝の柔らかな日差しが差し込んできたり、心地良い風がそっと吹いてきたり、そういう光景は想像するだけでなんだか気持ち良い気分になりますよね。逆に、一日中陽が入らなかったり、窓を開けてもほとんど風が通らなかったりすると、居心地が悪く感じてしまいます。

そこで本項目では、採光・通風について一戸建て(一軒家)とマンションとを比較してみようと思います。

まず一戸建ての場合についてですが、先程解説しました間取りの自由度が、ここでも活きてきます。

一戸建ての住宅では間取りの自由度が高いため、ちょうどよく光の当たる場所に居室(人が長時間過ごす部屋)を作ることが出来たり、風が通り抜ける場所に上手く窓を配置することでお部屋に風の流れを誘導したりすることが出来るのです。

間取りにもよりますが、窓を2箇所以上設置すると風の通り道ができるようになりますので、効率よく風を取り込めるようになります。間取りの自由度が高ければ、一つのお部屋に対して窓を2箇所以上確保しやすくなるのです。

ただ、裏を返せば間取りの良し悪しに左右されるということでもあります。間取りがよく考えられていないと、光が部屋まで入ってこなかったり、風が上手く通り抜けなかったりしてしまうのです。

また、一戸建ての住宅(一軒家)では、土地があまり大きくないことも少なくありません。隣家とほどほどの距離感を保てる地域であれば良いのですが、都心部などではそういう訳にもいかず、隣家とかなり近い位置に家が建てられていくことも多いのが現状です。

そうした場合、間取りではどうにもならないこともあります。つまり、一戸建ての住宅の採光・通風に関しては、間取りと土地にかなり影響されてくるのです。

一方、マンションの場合はどうでしょうか。

マンションは、一戸建て住宅と異なり大きな敷地に建物が建てられています。

都心部などの密集地ではそこまでお互いの距離が離れていない場合もありますが、一般的には隣地の建物とはある程度離れていることが多く、建物全体で見ると採光・通風に優れた事例も多く見受けられます。

しかしマンションの場合、これらの環境を生かす間取りが作られにくいという問題があります。

マンションはその性質上、採光の優れた方向(南側)に多くの住戸を詰め込む構成になり、一戸あたりの良い採光の面(南側)はどうしても少なくなってしまうのです。

そうすると、通常はLDKが一番採光の良い場所に配置されますので、その他のお部屋についてはあまり良い光が入ってこないことが多いのです。使用頻度の低い主寝室はそれでも良いかもしれませんが、子供部屋は明るいお部屋にしたい!と考えられている方は、事前によく間取りをチェックしておいた方が良さそうです。

また通風に関しても、多くのマンションは細長い間取りの中をいくつかの部屋で区切ったような構成になることから、風の通り道が出来にくくなってしまいます。中には採光と通風について考えられた間取りもありますが、基本的にはあまり通風性はなく、採光に関してもLDKなど家の主役となる部屋は明るいものの、他のお部屋についてはあまり期待できない間取りが多くなっております。

以上のことから、採光・通風に関しては一戸建て(一軒家)の方に軍配が上がります。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →一戸建て Win!

①-4.断熱性について

日々の生活において、断熱性は想像以上に住まいの快適さへ繋がっていきます。最近では高断熱・高気密といった言葉を多く目にする機会もあり、断熱の重要性が世の中に広がってきていますね。

それでは早速、一戸建て(一軒家)とマンションを比較していこうと思いますが、その前に一点補足です。

通常、断熱については建物がどういった構造で作られているのかという話とセットで語る必要があります。それは、構造毎に断熱性の高さが異なり、更に採用可能な断熱の工法が異なってくるからです。

しかし、そうするとすごく長い文章になってきますので、ここでは一戸建て住宅で半分以上の割合を占める木造住宅について考えていきたいと思います。

まず木造住宅の断熱性のついてですが、木造自体はあまり断熱性の高い工法とは言えません。そこで重要なのが、どれだけ高気密・高断熱な仕様で作られているかという点になります。しかし残念ながら、一般的な木造住宅においてはそこまで高気密・高断熱な仕様で作られていないというのが現在の日本の住宅事情です。

高気密・高断熱仕様を謳っているハウスメーカーなどはコンクリート造にも負けないような仕様で作られていることもあるのですが、一般的には木造の一戸建て住宅はあまり断熱性が高くないと言えるでしょう。

一方マンションはどうかというと、マンションはそのほとんどがコンクリート造という構造で建てられており、木造住宅よりも高気密・高断熱になっているのが特徴です。

更に、マンションの大きなメリットは外部に面する面が一戸建て住宅と比べ少ないことです。
一戸建て住宅では東西南北、全て外部に面していますし、屋根は日差しに晒され、床は地面からの熱気・冷気が伝わってきます。

一方マンションでは、大多数の住戸が上下左右を他の住戸で囲まれています(1階、最上階、角部屋以外の住戸)。マンションではこの上下左右の他の住戸が、外気の熱気や冷気を防ぐ断熱材代わりになるのです!

以上のことから、断熱性についてはマンションの方が優れていると言えるでしょう。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →マンション Win!

①-5.防音性について

快適な住まいにおいて、意外と見落としがちなのがこの防音性になります。
何故見落としがちなのかというと、今までに住んだことのある家や場所が騒音の気にならないところだと、防音性の重要性って中々気付くことができないのです!

逆に今までに何かしらの騒音で悩まれたことがある方は、この項目がいかに大事なのかご存知ですよね。それぐらい、防音性って快適な住まいにおいて重要な項目になるのです。

それでは、一戸建てとマンションとでどういった騒音が起こりうるのかも含めて、防音性能について考察していきましょう。

騒音には大きく分けて、車のエンジン音や電車の音といった、周辺の環境からくる騒音(本項では環境騒音と定義します)と、お隣や上下階に住まわれる隣人の方の生活音が聞こえてくる騒音(本稿では隣人騒音と定義します)の、二種類があります。

今回は、その二つの騒音の観点から一戸建て住宅とマンションとを比較してみたいと思います。

まず一戸建て住宅の環境騒音ついてみてみますと、一戸建て住宅の多くは木造になっており、木造建物の防音性能はそこまで高くありません。

ですので、近隣に線路が走っていたり、あるいは大通り沿いに建っていたりすると、電車の音や車のエンジン音がかなり家の中に響き渡ってしまいます。

一方、隣人騒音に関しては各建物が独立して建てられているのが大きなメリットになります。

アパートのように壁越しにお隣の部屋があると、どうしても音が響きやすくなってしまいますが、一戸建てのように一度外部を挟むと、外部からの音の響きは大きく軽減されてくるのです。

以上のことから、一戸建て住宅の騒音性については、環境騒音には弱く、隣人騒音には強いという結果になります。

続いてマンションの場合をみていきましょう。
まず環境騒音についてですが、マンションは多くの場合、音を通しにくいコンクリート造になりますので、建物本体の防音性能が高く、窓を閉めておけば外部の音はほとんど気になりません

更に最近のマンションは気密性の高い窓を使用している建物も多く、以前より一層防音性能が高い仕様となっております。

一方で隣人騒音についてみてみると、マンションの場合は上下左右に違う住人が住んでおり、それを隔てるのは外部ではなく、壁、天井、床といった部材のみの隔たりになります。

そうすると、隣接している住戸の方が静かな暮らし方であれば問題はないのですが、ドタバタと騒がしい方が来られた場合、かなりの生活音が聞こえてくる場合があるのです。

特に上の階にそういった方が住われた場合、足跡やモノを動かす音は下に響きやすいので、物音に敏感な方はかなり気になるかもしれません。

こうした点を踏まえると、マンションの騒音性については‌環境騒音には強いが、隣人騒音には弱いという結果になります。

以上のことから、一戸建ての住宅とマンションとでは、騒音の種類によって得意不得意があることが分かりました。そこで本項目では、引き分けという結果にしたいと思います。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →引き分け

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②立地環境-日々の生活の快適さに関わる項目

家が欲しいなと思った時に、間取りや購入金額のことと同じぐらい考えるのが、どの場所に家を構えるのかということです。

自分が生まれ育った場所だったり、利便性が良い場所だったり、あるいは子育て支援に力を入れた市町村だったり…住みたい場所の選び方は人それぞれで、とても悩ましいものですよね。

実は、建物を建てる場所は日本全国どこにでも、どんな建物でも建てて良いというわけではありません。都市計画法という法律で用途毎に建てられる建物が分けられており、一戸建て住宅が多く建てられている地域や、お店やショッピングセンターが多く建てられている地域など、いくつかの種類に分類されているのです。

この項目では、そんな立地・周辺環境について、一戸建て住宅とマンションとでどういった違いがあるのかをみていこうと思います。

②-1.最寄駅の近さ・買い物のしやすさについて

先ほども少し触れましたが、一戸建て住宅の多くは、同じような戸建て住宅が立ち並ぶ住宅街に建てられることが多くなっています。

そうした住宅街は、周りが静かで車がビュンビュンと飛ばすような場所ではありませんので、家の中にいて寛いだり、子育てしたりする分には良いのですが、一方で最寄の駅まで遠かったり、買い物する場所が近くになかったりと、利便性の面ではあまり良いとは言えません。

ではマンションはどうかと言うと、マンションは立地の良い場所に建っていることが多いのです。

立地が良い場所にあるとどういったメリットがあるかというと、最寄駅が近くにあるので通勤に便利だったり、買い物をすぐ近くで済ませられるといった、日常生活がとても便利になってくるのです。

こうした点を踏まえると、最寄駅の近さ・買い物のしやすさについてはマンションの方が優れているといえます。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →マンション Win!

②-2.庭の有無、使いやすさについて

次にお庭についてです。こちらは皆さん、どちらが優れているかすぐにイメージがつきますよね。

一戸建ての場合は、なんといっても広いお庭がとれるのが特徴でしょう。好きな植物を植えてガーデニングを楽しんだり、週末は日曜大工を楽しんだり、庭があることで出来ることはぐっと増え、日常が彩られてきます。

一方で、庭は定期的なメンテナンスが必要になってくる場所でもあります。敷地が土であれば雑草が生えてきますので、草を抜いたり、あるいは除草剤を撒いたりする必要がありますし(雑草対策には、植栽を植える部分以外を土間コンクリート等で仕上げるのがお勧めです)、草木を植えているのであれば水やり等の世話やりはかかせません。

ではマンションの場合はどうかというと、マンションには庭はなく、バルコニーやベランダといった半屋外スペースが庭代わりになります。こうしたバルコニーに、植物を植えた鉢を置いたり、アウトドアチェアを置いたりして楽しむことはできますが、一戸建ての庭のような楽しみ方をするのは難しくなります。

以上のことから、庭に関しては一戸建て住宅の方が優れていると言えるでしょう。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →一戸建て Win!

②-3.駐車場の台数、使いやすさについて

現代社会において欠かすことができないのが車の存在です。昨今、都心部では車をもたない家庭が増えてきているという話もありますが、実際にはまだまだ車を必要としているご家庭がほとんど。

また、地方になると一つの家庭につき車を2台以上必要とする地域が多く、注文住宅では駐車場が3台必要ですと言われることも珍しくありません。

そんな駐車場について、一戸建てとマンションとでどういった違いがあるのかを比較していこうと思います。

まず一戸建てについてですが、基本的に駐車場は2台取れる形で計画されることが多くなります。土地の販売状況をみていても、何か条件が難しい土地でない限り、一般的な住宅が建てられる大きさ 駐車場が2台程度確保できる土地の大きさを基準に、売買されております。

仮に、土地が狭く駐車場の確保が中々難しいというような土地でも、建物の1階を車庫とすることで駐車場を確保する方法もあります。

続いてマンションの場合をみていきましょう。

マンションの駐車場には、敷地内に駐車場が設置されている場合と、マンションの1階部分を駐車場としている場合(ピロティと呼ぶこともあります)の2種類に分類されてきます。

そんなマンションの駐車場ですが、台数がどれぐらい確保されているのかをみてみると、マンション一棟に対する駐車場の台数は1世帯1台を基本としており、後は敷地の形状や大きさ、あるいは地域性によって確保される駐車場台数は大きく変わってきます。

ただ基本的には一世帯1台程度の駐車場しか確保していないマンションが多く、更に昨今、マイカー所有者の減少により、1世帯1台の駐車場すら確保されていないマンションも少なくありません。

そういった状況を踏まえますと、駐車場に関してはマンションよりも一戸建ての方が勝っていると言えるでしょう。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →一戸建て Win!

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③管理体制-住まいの維持管理・防犯・防災に関わる項目

最後にもう一つ、家の購入を考える上で重要なことが管理面になります。この管理面がしっかりしているかどうかで、住まいに対する将来的な安心感は大きく異なってくるのです。

③-1.住まいの管理体制について

家を長く住まい続けていく上で、どのように管理・メンテナンスしていくのかはとても重要な項目になります。管理の仕方次第で建物の耐用年数は大きく変わってくるのです。

一戸建ての場合、家の管理は自己責任なります。その住宅がどういった材料で作られているのかにもよりますが、一般的に屋根は10〜20年程度で再塗装、外壁については塗装を10年程度、貼り替えについては30年程度で行う必要があると言われております。必要な時期にきちんとメンテナンスが行えるよう、日々のリフォーム貯金を行う事が重要です。

しかし、管理をどうするかは自己判断になりますので、自分の裁量でメンテナンスをどうするかを検討できるというメリットはあります。

極端な話、長い間ほとんどメンテナンスを行わない方も少なからずいらっしゃいますし、逆にコツコツとリフォーム費用積み立て定期的にメンテナンスをされる方もいれば、ご自分でDIYで補修される方もいらっしゃいます。このように自身でどのように管理をしていくかを選ぶことができるというのが、戸建ての最大のメリットになります。

続いてマンションはどうかというと、マンションでは毎月の支払いに管理費と修繕積立金というものが必要になります。

それぞれの費用はどういったものになるのかを説明しておきますと、管理費は建物を綺麗に維持するために必要になる費用のことを言い、この管理費を使用してエントランスや共用部の清掃、植栽の維持管理、共用部の照明機器取り替え等を行なっております。
一方、修繕積立金は10年後や20年後に建物の屋根や外壁、共用部などのリフォームが出来るように、住われてる方々で貯金していく費用になります。いずれ建物のメンテナンスが必要になってきた時期に、この修繕積立金を使用して改修を行うのです。

管理体制について一戸建てとマンションと比較してきましたが、この項目に対してはどちらが優れているのか甲乙つけ難い状況です。

何故かと言うと、まずどちらの場合も建物を管理していくという点においては費用は必ず発生してくるのです。

一戸建ての場合、個人の裁量で管理費にどれぐらい費用をかけるのかを自由に決められるというメリットがある一方、その金額に見合った内容のメンテナンスしか出来ませんし、またリフォームを行うにはお願いするリフォーム会社を選んだり、住宅について色々と勉強したりする必要があります。

マンションにおいてはどれぐらいの補修をするのかを自分の判断のみで選ぶことができませんが、毎月決められた金額さえ支払っておけば自身でリフォーム業者等の選定をする必要はありません。

以上のことから、極力管理費を抑えたい方や自分でいろいろ調べたりDIYを行ったりするのが好きな方は一戸建てが、自分で色々と調べるのは大変なので管理については一括でお任せしたいという方には関心の方が向いていると言えるでしょう。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →引き分け

③-2.防犯性(セキュリティ)について

続いて防犯性について見ていきましょう。

住まいのセキュリティを高めることは、安心して住むことができる住まいを作るためにもとても大事な項目になります。安心できる住まいは、そのまま快適な住まいに繋がってくるのです。

まず一戸建ての場合ですが、マンションと比べ一戸建てのセキュリティは決して高くはありません。それはなぜかというと、一戸建ての住宅は敷地に侵入してしまえば見つかりにくく、また大抵の間取りでは1階に大きな掃き出し窓があるので、侵入しやすいと言わざるをえません。また、不在時の状態、つまり留守中かどうかが外からわかりやすいと言う点が挙げられます。

その代わりに、セキュリティを強化することができます。大きな掃き出し窓部分については雨戸を設置したり、防犯カメラやセコムなどのホームセキュリティを設置したり、あるいは強化ガラスを使用したり…何でも自由に取り入れられる一戸建てならではのメリットです。

マンションの場合はどうかというと、一般的なマンションではエントランスホールがオートロックになっていますし、またエントランス内やエレベーター内に防犯カメラが設置されているなど、セキュリティのスペックが高いのが特徴です。また、物件によっては常駐の管理人がいらっしゃる場合もあり、その場合はセキュリティ度合いはより高まります。

ただ、防犯性が高い分、窓を開けっ放しにしたり、玄関の鍵を閉め忘れることが多くなったりするので、その辺を注意したいところですね。

以上のことを考慮しますと、防犯性についてはマンションの方が優れていると言えるでしょう。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →マンション Win!

③-3.防災性について

最後に、防災性になります。

防災については、地震や地震火災、津波や水害、土砂災害など、エリア毎に起こりやすさは大きく変わってきます。ですので、自分が住んでいる、あるいはこれから住もうと思っているエリアがどういった地域になるのかを把握することが重要です。

そこでお勧めな防災対策が、ハザードマップを確認することです。ハザードマップとは、各自治体がそのエリアで起こりうる可能性のある災害を種類別にまとめ地図に記載したものを言います。

特に、地理感のない場所に新しく住もうと思った場合は、土砂災害や水害など問題がある地域なのかどうかはよく確認しておくことをお勧めします。

そういった基本条件を踏まえた上で、一戸建て住宅とマンションとを比較していこうと思います。

まず一戸建ての場合ですが、水害や土砂災害に対する建物の強度という点ではあまり強いとは言えません。しかし一戸建ての防災性で大きく秀でていることがあります。

それは、近年注目されているZEH(ゼッチ)と言われるネットゼロエネルギーハウスで採用されている、太陽光発電や蓄電池といった、再生可能エネルギーを採用できる点です。

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、あるいは地熱といったような自然に存在するエネルギーのことを言い、災害時に電気やガスの供給が途絶えたとしても、太陽光発電といった再生可能エネルギーを利用できるシステムがあれば最悪の事態を防ぐことが出来ます。

一方でマンションの場合、建物自体は共用になりますので、そうした再生可能エネルギーを使用することはできません。しかし、マンションは建物の構造が一般的な戸建住宅と比べ非常に強く、地震時に安心できるということは大きなメリットになります。

水害時にも、2階以上であれば比較的安心できるという点も挙げられますね。

防災性の項目については、一戸建ての住宅とマンションとで一長一短あり、一概にどちらが優っているとは言えません。ですので、防災性の項目については引き分けにさせていただこうと思います。

結果:一戸建て(一軒家) VS マンション →引き分け

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まとめ

以上、長くなりましたが一戸建てとマンションの特徴について、11項目から比較を行ってきました。最後にまとめておこうと思います。

①居住環境-住まいの快適さに関わる項目

  • ①-1.住まいの広さについて→一戸建ての方が良い!
  • ①-2.間取りの自由度について→一戸建ての方が良い!
  • ①-3.採光・通風について→一戸建ての方が良い!
  • ①-4.断熱性について→マンションの方が良い!
  • ①-5.防音性について→引き分け

②立地環境-日々の生活の快適さに関わる項目

  • ②-1.最寄駅の近さ・買い物のしやすさについて→マンションの方が良い!
  • ②-2.庭の有無、使いやすさについて→一戸建ての方が良い!
  • ②-3.駐車場の台数、使いやすさについて→一戸建ての方が良い!

③管理体制-住まいの維持管理・防犯・防災に関わる項目

  • ③-1.住まいの管理体制について→引き分け
  • ③-2.防犯性(セキュリティ)について→マンションの方が良い!
  • ③-3.防災性について→引き分け

以上のことから、一戸建て、マンション、それぞれに向いている人はこのようなタイプになります。

一戸建てVSマンション-一戸建てに向いている人はこんな人!

一戸建ての1番のメリットは間取りの自由度です!これから何十年と住んでいく住まいになるのですから、自分が納得のいく間取りの住まいに住みたいですよね。

また庭が欲しかったり、車の所有台数が多い方にも一戸建て住宅がお勧めです。

一戸建てVSマンション-マンションに向いている人はこんな人!

マンションの1番のメリットは、立地と管理体制です!立地の良いところに住めるということは、最寄駅が近かったり、近場ですぐに買い物が出来たりと、日常の生活がとてもしやすくなります。

また管理の面においても、マンションの定期的なメンテナンスは管理会社の方で行ってもらえますし、補修が必要になっても自分で手配する必要はありません。

間取りよりも、立地や管理のしやすさを重視したい方にマンションがお勧めです。

以上、二級建築士のLIDOMAがお送りしました。